2019年10月21日

台風15号と19号の被害にあわれた皆様に謹んでお見舞い申し上げます。

1日でも早く平穏な日常生活に戻れるようになることを心よりお祈り申し上げます。

地球温暖化による気候変動の影響か、これまでにないような異常気象による風水害が日本だけでなく世界の各地を襲っています。

鬼怒川の堤防が決壊して周辺の地域に甚大な被害を与えたのが平成27年のことなので、わずか3年しか経過していないにも関わらず、今回の台風において多くの死者と行方不明者が出てしまったのがなぜなのか考えさせられます。

一部の自治体では堤防の決壊と避難指示の情報が市民にまったく伝えられなかったという報道もされています。大きな力を有する自然から命を守るためには、これまでの行政に依存した「治水」だけでなく、市民レベルでの「水害防備(水防)」の取組みも重要になるのだろうと思われます。

10月19日の新聞各紙インフォグラフィックス
10月19日の新聞各社のインフォグラフィックス(左:読売新聞、右:朝日新聞)

これからは『技術には自治がある』(大熊孝、2004年)にあるような「氾濫許容型」の国づくりについても再考しなければならない時代なのかもしれません。同書には近代的土木技術による治水の限界(反省)だけでなく、洪水によって家屋の床上浸水が発生した際は1名のみ避難せずに家屋に残り、水が引くタイミングで泥を掻き出すといったような経験則も紹介されています。

今回の台風被害を教訓として無駄にしないためにも国や地方自治体、技術者だけでなく、より多くの市民が自分ごととして水防について考えて行動することが求められます。