大型商業施設がロードサイドに大量にできるようになった頃から鉄道駅の周辺にある商店街が寂れるようになったこともあって、郊外の大型店と中心市街地の賑わいはトレードオフの関係にあるというような議論は一般的に浸透しています。郊外の大型店と駅前の商店街との関係は時代的な背景と法体系によって様々に変化して来ました。特に、近年更に大規模化になりつつあるショッピングモールは新しい街ができるほどの大きな影響力を持っています。

今回紹介する新刊は物流という切り口で、戦後の商業がどのように変化したかについて分析しています。筆者は熊本県の方なので九州の事例が中心に紹介されていますが、“中抜き”によって卸売業の数が半減したデータを示しています。シャッター商店街が誕生した背景は様々ですが、後継者の居なくなった商店は“家庭の事情”で閉店してゆきます。筆者は「都市を形成する産業」として小売業だけでなく卸売業も一緒に再建するように纏めています。

自然災害や国際紛争等から生産を国内に戻す動きも一部で見られます。いずれにしても、未来の地域社会と雇用を再設計する必要がありますね。