ウイルスや不安と付き合う
ジョンズ ・ホプキンス大学システム科学工学センター(CSSE)のCOVID-19感染状況の最新データでは、世界188か国で470万人の感染者が確認されています。
国連に加盟している国の数は196または197とされているので物理的にも地球上の大陸全体に蔓延していることがわかります。
一方では嬉しいニュースとして国内外で感染ピークを過ぎて外出規制等を段階的に解除する地域も出てきました。
国内の39県についても緊急事態宣言が先週の14日に解除され、終息への期待と第二波への不安の声が協奏曲のように色々なところから聞こえてきます。
切望されているワクチンの開発にはもうしばらく時間がかかることが報じられていますが、今回のウイルスは完全消滅せず一定の地域で発生し続ける可能性も世界保健機関(WHO)によって指摘されています。
心と体の健康に気をつけながら感染予防のための対策を続けましょう。
CODIV-19が残したもの
21世紀になってすでに四半世紀も近いにも関わらず、人類は正体が掴みきれない小さなウイルスへの感染に怯えながら、不安な日々を過ごすことになりました。
今回のCOVID-19感染拡大の教訓として様々な議論が繰り広げられており、有限な地球上において人類は今後どのように行動するべきかを考えさせられています。
2015年の9月にニューヨーク国連本部で開催された「国連持続可能な開発サミット」では、すべての人々にとってよりよい、より持続可能な未来を築くための青写真として「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択されました。
2030年までに達成する17の目標と169のターゲットが掲げられており、国内でも官民を挙げて活動が浸透しつつあります。
毎月の17日を「国民的SDGsの日」とするような動きも一部であるようです。
残り10年でSDGsを達成するには取り組みのスピードを速めて規模を拡大する必要があることから、今年の1月にSDGs達成のための「行動の10年(Decade of Action)」がスタートしています。
SDGsの17の目標は多種多様な分野に及びますが、ストックホルム大学のストックホルム・レジリエンス・センターは2016年に生態系(生物圏)と社会、経済の3つの視点で捉えたモデルを発表しています。
3段のウエディングケーキのように重ねられていますが、生物圏の上に社会が成り立ち、さらにその上に経済活動が営まれていることから、個別最適での目的達成よりも軸となるパートナーシップで立体的に取り組みましょうという提案です。
COVID-19は地球上で勝手気まま暮らす人類には大きな打撃を与えましたが、地球は休息して深呼吸をしているようにも見えます(お世話になっている経営者の言い得て妙な例えです)。
我々はSDGsの視点も踏まえて地球環境とライフスタイル、経済活動の全般をもう一度見直すタイミングにあるということを認識する必要があるのかもしれません。
過去を振り返り未来を構想する
1962年に『沈黙の春』を執筆したレイチェル・カーソンは、出版の翌年に出演したテレビ番組で下記のような言葉を遺し、さらにその翌年に56歳の若さで逝去しました。
(今回はその発言を紹介するニューヨークタイムズの当時の記事と、翻訳家でレイチェル・ カーソン日本協会理事長の上遠恵子さんの素晴らしい訳をあわせて紹介します。)
I think we’re challenged as mankind has never been challenged before to prove our maturity and our mastery, not of nature, but of ourselves.
https://archive.nytimes.com/www.nytimes.com/books/97/10/05/reviews/carson-obit.html
私たちは、自然の支配に熟達するのではなく、私たち自身を制御する面で熟達することを、今日ほど強く求められたことはなかったのです。
ブルックス、ポール 上遠恵子訳『レイチェル・カーソン』新潮社、1992.
奇しくも今年の春は桜が咲けども花見ができない奇妙な「沈黙の春」でした。
ジョンズ・ホプキンス大学の大学院で動物発生学を学んだカーソンが人類に遺したメッセージを胸に向こう10年の地球環境と人類のあるべき行動についてもう一度考えてみましょう。
弊社もプロフェッショナル・アドバイザーとして様々なコミュニティの持続可能な発展をサポートして参ります。