森林の中での感染症の拡大

新型コロナウイルスによる死亡者数は今日にも80万人に達しそうな勢いです。

今日は日本国内の森林で発生している「感染症」として2017年頃から関東でも発生している「ナラ枯れ」についてお知らせします。

「ナラ枯れ」の正式名称は「ブナ科樹木萎凋病」と言いますが、ブナよりも同じブナ科のナラ類が葉っぱを赤褐色にして萎れて枯れてしまいうことからそう呼ばれています。

酵母と共生しているカシノナガキクイムシ(略称、カシナガ)という5mmほどの昆虫が、樹木の幹で繁殖する際に酵母(餌)と紛れ込んでいるナラ菌を増殖させるために起こる現象です。

乾燥しにくい大径木の地面近くを雄が集団で多くの穴を開け、1組の雄と雌が1つの穴で子どもたちを育てるので木が1棟の新築のタワーマンションのようになります(前述の通り木は水を吸い上げられなくなって枯れてしまいますが…)。

来年の春には同じタワーマンションで育ったカシナガが数万から数十万の数で新居を探すことになります(これもパンデミック…)。

先に感染した日本海側はすでに収束しているところが多くありますが、東京都内や神奈川県内では特に昨年と今年の感染拡大が著しく、景観を一変させる事態となっています。

三浦半島でも最高峰の大楠山をはじめ山のあちこちで紅葉したように色づいた木々が見られます(秋になると本物の紅葉で識別しづらくなります)。

赤茶色に紅葉したように見えるナラ枯れの発生状況
大楠山近くの山の様子

コナラやミズナラのほか、同じブナ科のマテバシイ、さらに驚いたことにクスノキ科のタブノキまでもやられており、今後の山の斜面の安定性(安全)にも影響を及ぼす可能性があります。

ナラ枯れが発生するブナ科の代表的な樹種コナラの巨木も無残な状況です
立ち枯れしたコナラ
燃料にするために植えられた株立ちのマテバシイも悲しい状況
立ち枯れしたマテバシイ

森の中はカシナガの巣穴から排出されたフラスと呼ばれる木粉(糞や木屑の混じったもの)が辺り一面に堆積し、薄褐色の雪が降り積もったような異様な景色です。

明褐色のフラスで周辺一帯に雪が降ったような景色に
フラスで一面が真っ白に

感染拡大の防止

地球温暖化による高温で土壌が乾燥して樹木と共生している菌類が死滅して水や養分が吸い上げられなくなって樹勢が衰えたのが素因(原因)で、そこに誘因(きっかけ)となるカシナガが増えのか、何らかの原因でカシナガの天敵となる昆虫などが減少したことにより急激にカシナガが繁殖したのかは不明です。

一方ではナラ類が燃料や肥料として利用されなくなって大きく成長したことが原因なので、誘因となるカシナガによるナラ枯れを予防するために大径木は積極的に伐採して使い若い木の山林に転換しましょうというような計画も散見されますが、少なからず疑問を感じます。

新型コロナウイルス感染症のワクチンの開発が世界中で注目されていますが、ナラ枯れについては自然治癒(樹木の生体防除反応)以外の治療による樹勢回復は難しい状況です。

可能な手立てとして周囲への感染防除(予防)としてナラ菌を死滅させる薬剤の事前注入などの手法ありますが、すでにタワーマンションは乱立してしまい、多くは放置されているのが現状でタブノキまでも感染するとすれば防除も際限がありません。

いずれにしても巨木の枯死は将来的な斜面崩壊にもつながる可能性が高いので、当方が関与している山林の重点箇所においては可能な限り「ロックダウン(封鎖と捕獲)」をする予定です。

息で吹き飛ばしただけでは軍手から離れません
しっかりと貼り付くマダニ

森林の健康と人間の健康

調査を終えて服に付着した種などをチェックしていると、軍手にしがみついている話題のマダニがいました。

この生き物もヒトを含む哺乳類の血を吸って感染症を引き起こすので要注意です(普通に野山にも生息しているので山では肌の露出は控えましょう)。

国内では“第2波”から“第3波”への移行の可能性も示唆されていますが、新型コロナウイルス感染症については依然として注意と適度な警戒が必要です。

弊社ではウィズコロナの時代を安心・快適に過ごすためのオリジナルアイテム「もりのフック」をオンラインで販売しています。

レジ袋の有料化やプラスチックストローの使用抑制など、プラスチックの使用とごみを減らための試みが始まりましたが、国内の木を使うことで山林の資源と山間部の経済の循環が促されることに着目しています。

さらに1本のご購入ごとに1本の苗木を国内の山林に植栽することしており、ナラ枯れで被害を受けた山林の回復にも役立てられます。

森林の健康と人間の健康の両立を図るニューノーマル時代のアイテムをぜひ体験してみてください。