まん延とは何か
4月5日から大阪府で初めて実施された「まん延防止等重点措置」が、本日4月12日から東京都と京都府、沖縄県にも実施されることになりました。
「まん防」と省略すると魚のマンボウに悪いイメージが抱かれるとか、懐かしいマンボというダンスを彷彿とさせるせいで気が緩むとか、略語についても話題になりました。
昨年3月に「新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律」が成立して、新型コロナウイルス感染症も法の対象となる「新型インフルエンザ等」に暫定措置として追加されたことを受け、都道府県が国に今回の適用を要請しました。
一般的に「まん延」は漢字で「蔓延」と書きますが、蔓(つる)が常用漢字ではないために新聞の紙面などでも「まん延長」と記されています。
自治体の名称などを平仮名で書いて親しみを持ってもらう昨今の不思議な風潮がありますが、今回の「まんえん」は決して親しむべきものでもありません。
蔓延と類似した音で同様な意味を持つ表現としては、蔓衍(マンエン)や衍曼(エンマン)、衍漫(エンマン)という漢字もあります。
蔓という漢字の元となった曼(マン、バン)という漢字は、元々は手を使って引き伸ばすという意なので、共通して拡がるという意味です。
自然界の蔓
市街地ではキヅタやモッコウバラが盛り盛りに生い茂り、里山では常緑の不気味なアサガオが民家の裏山を覆い尽くし、遠くの山では植林されたスギやヒノキの森にヤマフジなどが繁茂しています。
移動中の新幹線や特急の車窓から外を眺めると点々と見られた優美なヤマザクラが咲き終わり、次はフジが妖艶に咲き誇るのかと思うと複雑な心境になるのはきっと私だけではないでしょう。
人間が自然との関わり合って暮らしていた頃は、農業や林業の従事者、栽培者によって適度な管理が行われていたので極端に繁茂する前に処置(切除)されていました。
ところが昨今は従事者の世代交代や生活様式の変化によるものか、あるいは放置するのが自然という拡大解釈によるものか、あちこちで蔓蔓と繁茂した蔓植物を見かけるようになりました。
蔓植物は先に成長している植物に絡んで日光を求めて伸びていくので、放置していると支えとして利用していた植物の成長に必要な日光も奪うことになり最後には恩を仇で返すように枯らしてしまいます。
一方で軒先を借りて母家を取った蔓植物は一緒に枯れるわけではなく、世渡り上手なのか枯れることを見越してさらに高さのある植物に支えられるように上部で広く繁茂しています。
新型コロナウイルスも人間という宿主を借りて必死に地球規模での拡大を続けており、厄介な蔓植物のようなものなのかもしれませんね。
蔓を断ち切る
ウイルスという蔓を断ち切るためにはワクチンを用いるというのが現時点での選択肢としては最も有効ですが、重点措置が実施されようとされまいと蔓が大きくなって木を枯らさないように一人一人が感染予防のための行動をとることが重要です。
漫漫(曼曼)と広がる海を湛えた美しい地球上に
満満とした笑顔で人類が暮らし続けられるように(ONE HEALTH)
蔓蔓と蔓延(はびこ)ろうとするウイルスの感染を断ち切りましょう!
えっ、東京オリンピック開催に向けて聖火リレーが国内各地で万々(ばんばん)行われていて感染拡大が心配?
危機管理意識が欠落しているのか旧態依然とした組織では上司が大人数での歓送迎会をやる気満々(まんまん)?
それは蔓ですね…(笑)